HOME

入川森林軌道(深部軌道・上部軌道) 別名:東京大学演習林軌道 <3>  

 .3.7(完結)

訪問日 2008/05/04 同行者:ギルさん、モーちゃん   徒歩      カメラ:Nikon D70

軌道跡を辿り一歩一歩奥へと進む3人。
当時のままを思わせる枕木やレール、そして荒々しい切通しなど、次々に現れる森林鉄道の遺構に目を奪われながら、第一目的地の赤沢谷出合を目指した。
軌道は切通しを抜けて、奥へ奥へと進んでいった。
上の写真を縦構図で。
ここまで来ると、まさに深山幽谷という言葉がピッタリだ。

この橋台はいったい何?
レールは路盤を通っている。
以前はこちらのルートだったのだろうか。

この軌道、年表でも分かるとおり1980年代に発電所工事のために一度復活している。
そのときに山側を削って線路を敷きなおしたのか?


2008/05/15追記
「全国森林鉄道」の写真に途中にあった木材の積込み場が写っていた。
その写真を見ると谷側に張り出しが作られていたようで、もしかするとここがそうであったかもしれない。
再び距離標らしきもの。
今度のは消えかかっているが”520”と読める。
先ほどのは800mだったので、距離が減っている。
普通は起点から距離が伸びていくのだが、これは逆。
赤沢谷からの距離なのだろうか?

地図で確認すると赤沢谷からの距離と一致するようだ。
これは赤沢谷を起点とする距離標だろう。
そして、対岸に謎の石垣が出現。
これはいったい何のためか。
対岸の石垣は数十メートルに渡って続いている。
対岸に石垣があるのはここだけである。
その先には崖下に平場が出現。
この平場は軌道時代に何らかの用途に使われていたようだ。
石垣で補強された道が、軌道敷から下の平場に向かって降りていっている。
そこにはコンクリで作られたマス状のものが。
水場か何かだろうか。
おそらくここには飯場があったのだろうと思われる。

さあ、ここから赤沢谷までは300〜400mほどだ。
連続して掛かる橋。
初めてきたときは木橋だったと既に書いたが、それは軌道時代の橋でレールはまだ残っていて、その間に板を渡しただけのものだった。
その隙間からは深い谷底が見えるものもあり、スリリングだったのを覚えている。




ここで2001年8月と2002年11月に訪れた時の写真を見ていただこう。

真ん中の写真が木橋である。(場所は上写真の所ではない)

上と下の写真は現状とそう変わりないが、橋が架け替えられた今となっては、真ん中の写真だけはもう撮ることができない。

数年前までは全てこのような橋だったのである。
取水堰堤を過ぎると軌道跡が荒れだした。
取水堰堤までは管理のために定期的に人がやってくるのだろう。そのために軽トラの轍が付いていたのだと思われる。

つまり、そこを過ぎると車が通れるレベルまでの道の整備は必要ない訳だ。
山側には落ち葉が積もっている。
足で踏むと膝まで潜った。
崩落によって道連れにされたレールが顔を出している。

入川の水面までは常に20〜30mほどだ。軌道はその辺りの等高線に沿って敷設されていた。
二段に積まれた石垣。
レールは落ち葉によって隠されている。
11:20
赤沢谷出合に到着!
入川渓流観光釣り場のゲートを出発してから2時間ちょうど。
距離にして約4km。普通に歩けば1時間のところを、写真を撮りながら2倍の時間を掛けた。

ここはベンチが置かれ、ちょっとした休憩場所になっている。
私たちを追い抜いていった釣り人や親子連れのハイカーが休んでいた。

渓流釣り場からここまでの道は遊歩道としての整備も進んでいて、山歩きに慣れていない人や子供でも来ることができる。
赤沢谷手前の400mほどの地点に数箇所土砂が被っているところはあるが、注意すれば危険なレベルではない。
実際、昨年の夏に私も小学1年の息子を連れて訪れている。
だが、ところどころで落石の跡があり、注意を促す看板も出ているので、山道に絶対安全は無いということを頭に入れておいてもらいたい。

そして、ここから先は山屋の世界。
道はここから赤沢谷左岸に沿って数十メートル登り、吊橋で赤沢谷を渡りって九十九折れの登山道へと取り付く。
そこは人一人が歩けるほどの幅しかなく、足を踏み外すと何十メートルも滑落する恐れがある所だ。
ここに入川森林軌道の説明がある。
以下にその内容を記す。

森林軌道の歴史(入川軌道)

こんな山奥でレールに枕木、不思議に思いませんか。 重い木材を満載して、ガタゴト、ガタゴト、ギシギシここは昭和23年から45年の間トロッコが走っていた道。

当時はここと同様の森林軌道が日本のあちこちにありましたが今ではほとんど姿を消してしまいました。
現在地を示す地図もあった。

登山道はここから急激に高度を上げる。
さて第一目的地の赤沢谷出合に着いた我々。
普通ならほっと一息ついてベンチで休んでというところだが、そうもいかない。
それはここ赤沢谷出合には遺構が数多く存在するからである。

まずは軌道が赤沢谷を渡る橋台の跡。
軌道跡を歩いてきて、そのまま真っ直ぐに進むと嫌でも目に入る。
赤沢谷は巨岩がゴロゴロと転がり、典型的な山岳渓流の様相だ。

一般的に入川森林軌道は赤沢谷までとされているが、実はまだ奥があるようなのだ。
最初の導入部にも書いたが、その奥を紹介しているサイトは目にしたことがない。
だが、実際にその場に立つと分かるが、さらに先にも平場が続いているのが見えるのだ。

しかし、ここを渡るのは普通の人なら躊躇するだろう。
水量こそ多くはないが、巨岩の間を縫って足を踏み出し、流れを渡渉しなくてはならないからだ。
もし足を滑らせたら・・・。
だが、そこは源流釣り師の我々。この程度のことは慣れっこである。
もちろんここを渡渉して先へと踏み込んだのは言うまでもない。
次回、赤沢谷より先の入川本谷、深部軌道を紹介しよう。


でも、その前に腹も減ったし、昼飯、昼飯!
赤沢谷出合に立つ、荒川起点の碑。
ここまで行ったらぜひ見てもらいたい。

この碑は赤沢谷橋跡のたもとに立っている。
次はいよいよ深部軌道探索へ!
 HOME  次へ  .3.7(完結)
inserted by FC2 system