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西沢森林軌道 (6)

訪問日 2011/10/09 同行者:ギルさん、モリリさん                  カメラ:Nikon D90 Panasonic FT1



片道7時間を掛けて、西沢森林軌道がアザミ沢支線と分岐した地点までの調査が終了した。
時間はすでに14時を過ぎている。10月ともなると長かった日照時間も徐々に短くなり、日没も早まっている。
帰り道がどのくらい時間が掛かるのかも分からないが、人間が平地を歩く平均的な速度は時速4kmほど。駐車場まで7kmで、しかも廃軌道跡となれば、休憩も入れれば4時間近くは掛かるだろう。車に戻る頃には暗くなっていると思われた。
我々は急いで引き返すことにした。










急いで引き返す我々を、鹿が見送ってくれた。
また来年、ここに来るからな。

滝の上展望台へは16時頃に着いた。
ここまでくればあとは登山道だ。ヘッドランプも持っていることだし、暗くなっても問題ないだろう。

滝の上展望台には、多くのハイカーが休憩している。
中には散歩にでも来たのかというくらい軽装備の観光客の姿も見られた。

展望台のベンチで休んでいると、ギルちゃんが「あれ、エンジンじゃない?」という。
「え、どこよ!」
と指さす方を見ると、なんと確かにエンジンらしき赤錆びた塊が、頭上の崖上に見えた。












間違いない! あの形はエンジンだ!
我々は思いがけない発見に色めきだった。
(帰ってからネットで検索したら、紹介しているサイトもあったのだが)

展望台のベンチから見あげると木々の隙間から、その姿はハッキリと確認できる。














そのエンジンは、かまぼこ型のトイレの先にある黒金山登山道を登った所にあった。

近づいてみると、間違いなくエンジンだ。





OHV 直列6気筒エンジンで、後部にはミッションも付いている。
一瞬、森林軌道のガソリン機関車の残骸かと思ったが、ここには最後まで機関車は入線しなかったということなので、それは無いだろう。
何より、機関車のものと思えないほど小さい。
おそらくトラックのエンジンだろう。
角材に固定されて据え置きされて使用されていたようだ。











日立のマークが付いている。







近くにはラジエターグリルが埋もれていた。
あまりに土をかぶっているので、掘り出さなかったが、今考えると悔やまれる。
グリルにはメーカー名等があったかもしれない。







打ち捨てられた謎のエンジン。
ウインチか何かの動力に使っていたのだろうか。
置き去りにされて何十年という歳月が過ぎた。










シリンダーヘッドの何かの陽刻









「GM」? いや「6M」か?







さて、エンジンは一通り調べたので、車へと急ごう。
ここからは軌道跡が遊歩道になっているので、それを辿って行けばいい。
遊歩道なので、危険な個所は無いだろう。













土に埋もれたレールが寂しげに続く遊歩道。
ここは、多くの観光客や登山者が歩く道だ。









切り通し









谷底に朽ちた木橋の残骸が落ちていた。















いくつもの木橋が掛かっていたようだ。









外されたレールが積まれている所もあった。










レールで組まれた落石避け?









右急カーブの切り通し。
その手前になにやら看板らしきものが。
ひこいっちゃんころばし
ここから谷底に馬もろとも転げ落ちた「彦一」さんという人がいたらしい。

その先にまた切り通しがある。
岩を削り軌道が敷かれているのが良くわかる。
くねくねと崖に沿って進む軌道。






駐車場までの中間地点、
大久保沢の橋まで来た。
軌道は大久保沢のもっと上流で渡っていたようだ。
森林軌道はできるだけ短い橋で沢を渡るように敷かれていた。










上流で渡った軌道が戻ってくる。















大久保沢橋梁の橋台























あれは運材台車か!?







運材台車。
こうやって切り出した木材を乗せて、
ブレーキを掛けながら土場へと下って行った。

しっかりと固定されてはいたのだろうが、
とても不安定そうで恐ろしい・・・。












台車を覗きこむ。
木枠に軸受けと車輪がついただけの簡素なもの。

両サイドの鉄棒が馬と繋ぐものだろうか。
中央から出ている板材が台車同士を連結するものだろう。

またがるギルちゃん
時刻はすでに17時。だんだんと日が暮れてきた。
まだ先は長いのだ。急げ!

ヘッドランプの灯りを頼りに駐車場へと戻ったのは、日もとっぷりと暮れた18時過ぎだった。
朝7時に歩きだしたのだから、11時間にもおよぶ廃探。
駐車場に着くころには、かなり疲れてヘロヘロに近かったのを覚えている。

しかし、西沢森林軌道の未知の部分まで行けたのは、すばらしい成果だった。我々はその結果にとても満足している。
すっかり林道化されて、何も残っていないと思っていた部分にも、いまだに軌道が残されているということも分かった。
そして、レールはたくさん落ちていた。
それを自分の目で見ることができたのだから、幸せ者である。

今回足を踏み入れることができなかった、さらに奥地。
アザミ沢、京ノ沢、本谷と最も奥の支線が未解明だが、それもなるべく早く訪れたいと思っている。

 
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