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西沢森林軌道 (3)

訪問日 2011/10/09 同行者:ギルさん、モリリさん                  カメラ:Nikon D90 Panasonic FT1








滝の上展望台から約1時間。第一隧道を攻略した我々は第二隧道にやってきた。ここも第一隧道と同じように素掘りの隧道。
今まで廃探した廃線には隧道は無かった。それがここには2つもあるのだ。
廃探倶楽部にとって、この軌道跡はやはり超優良物件だ。







10:20
ついに第二隧道に到達した。
駐車場を出発してから3時間20分。滝の上展望台からは1時間の道のりだった。
第二隧道の手前には沢が横切り、軌道は木橋で渡ってから隧道へと吸い込まれていた。
しかし、すでに木橋は朽ち果て、2本のレールだけが残っている。
だが、渓は山側へほんの少し迂回すれば安全に渡れた。















第二隧道の前に立つモリリさん。
第一隧道より高さがあるように見える。








木橋で越えていた沢からの風景。
ここにも隧道を迂回する形で旧線の跡が残っていた。
隧道内には巨大な岩が崩れ落ちていた。
先ほどの第一隧道内の軌道は保存状態が良かったが、
こちらは手前の橋が崩壊したせいで、
レールが引っ張られて枕木から浮き上がっていた。
う回路の旧線跡。
ここも桟橋で支えられていたようである。
ギリギリのところを削って、なんとか線路を通そうとした苦労がしのばれる。
う回路の旧線を辿り、上流側にまわって見る。
この辺りの方が状態は良い感じ。
隧道内の落石。
ひと抱えはあるような巨大な岩。
この軌道の現役時代、こんなのは日常茶飯事だったことだろう。
材木満載の台車にまたがって、カーブを曲がった途端にこんなのが落ちていたら・・・。
上流側から見た第二隧道。
さあ、第二隧道も制覇したぞ。
どんどん行こうぜ!
って意気込んだものの、またまたしょっぱい所が出現!
滝の上展望台から最終目標地点までの往復距離で考えると、
現在地点でだいたい6分の1だ。
まだたったの6分の1〜・・・。
念願だった第二隧道へと到達することができて、ホッと一息ついた我々3人。
しかし、今回の目標は軌道がアザミ沢を渡る地点。まだどこにも報告の無い、本線とアザミ沢支線が分岐する地点だ。
先はまだまだ長い。
だが幸いなことに軌道跡には急な登りはないので、体力的にはキツくない。気合を入れ直して先を急ごう。








ギルちゃんが、「かすがい」を発見!
これは木材と木材を繋ぎ合わせるもの。









立木に縛り付けられた碍子。
途中、何箇所かで見られた。







くぅ〜! ここはまた気持ちいいくらいに下まで行っちゃってるなぁ。
ただ、滝の上展望台付近に比べると、川との落差がかなり少なくなってきている。
お、ここはなんか平和な区間だなぁ。
心癒される感じ〜。
いいねいいね、このカーブ。
いかにも森林軌道って感じの線形だ。
な〜んて和んでいると、こんなん出ました!
かなり大規模な土石流に襲われたみたいだ。
今までの区間では一番大きな支流が落ちている。
大雨が降ると、ここはものすごい流れになるのだろう。
支流を越えると軌道は再び平静を取り戻す。 取り外されたレールが打ち捨てられていた。








打ち捨てられたレールからふと顔を上げると・・・
出た! 飯場小屋だ。
無造作に捨てられた一升瓶の山!
山の男たちが必死に働いた40年前の残像。









いったいどれほどのの一升瓶が
埋もれているのか。
何百本、いやひょっとして何千本?







小屋の中はボロボロに荒れ果てていた。
小屋の壁には多くの落書きがあった。
かつてここが国師ヶ岳への登山道だった頃、多くの登山者がここで休んだのだろうか。
そして小屋の裏手に回ると、
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
最恐の便所!



あれ? なんか「山行が」さんとこで見た写真より、さらに傾いてないかい?
絶対傾いてるって!
最恐MAX便所にVersionUP!!








これが噂の便所か!
崖の上に張り出して作られたこの便所!
排泄物は山の肥やしとなって、雨が降れば清冽な西沢の流れへと落ちて自然へと還る。(笑)
天然のバイオトイレだ!













ここまで苦労してきたんだから、
やっぱしゃがんでみるしかないべ


Photo by ギルちゃん

この便所、倒壊しないようにワイヤーで引っ張ってあったが、はたしてあと何年持ちこたえるだろうか。





最恐の便所Ver.2を見学した我々は、軌道の山側にと登ってみた。
そこにはやはりなんらかの施設があったのであろう、人の手によって切り開かれた痕跡が残っていた。
さらに写真左に6個ほどの茶色いカメが転がっているのが見えるだろうか。
このカメ、入川の飯場でも見かけた。
水を入れるものだろうか?
他にも真っ赤にさびた一斗缶やトタン板が
落ち葉に埋もれていた。








そして飯場には珍しい、ビール瓶を発見!
一升瓶はあちこちで見たが、ビール瓶はなぜか見たことが無かったのだ。
さらに珍しいウイスキーだ!
でもってまだ入ってるし。
40年物か(笑)
酒もあるぜよ!
この一升瓶、王冠だ。








飯場を臨む。
大勢の男たちが働いていた頃の、かつての活気がウソのよう。
今では訪れる者もなく、ひっそりと静まり返っている。
Let's Dance!









飯場を挟んだこの区間は、おだやかな森の中を行っている。
落石の心配の無い安全な場所。
そういうところだからこそ、飯場を設けたのだろう。
だが、そんな心休まる区間も長くは続かなかった。









西沢の流れはだいぶ近くなったが、
それでもここから落ちたら無事ではすまない。









今さら遅いってば!(笑)








沢の音が大きく聞こえる!
西沢の流れが近い。









おや、レールさん、2本揃ってどちらへ?・・・










うおっ! もうこの先は道が無い!
そう、ついに我々は西沢林鉄が西沢を渡る地点、すなわち西沢橋梁に辿りついたのだ。
この先の西沢右岸には、もう軌道跡は無い。
西沢林鉄はここで左岸へと渡っている。
この辺りの標高は約1500m。ここまで来てもなお、西沢は結構な谷幅を持っていた。
ここに橋があったのは間違いない。それは先人たちが報告しているとおりだ。
そして橋脚がまだ残されているという。報告は数年前のことだが、今でも橋脚はあるのだろうか。
台風の大雨で流されてはいないだろうか。

さあ次回はいよいよ西沢を渡り、左岸の探索だ!

 
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