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西武鉄道 安比奈線

訪問日 2008/08/31 同行者:大師匠、ギルさん          カメラ:Nikon D70・Panasonic FX01

埼玉県川越市と新宿を結ぶ「西武鉄道新宿線」。その新宿線南大塚駅から分岐し、入間川河岸の安比奈に向かって線路が延びている。これが今回取り上げる「西武鉄道安比奈線」である。

安比奈線は入間川で採取した砂利の運搬を目的として、大正14年(1925)2月15日に開業した貨物線である。
安比奈駅までは全て単線。軌間はJRの在来線と同じ1067mmで、路線延長は3.2km。開業当時は蒸気機関車だったが、戦後に電化されている。
河川での砂利採りが禁止されたために昭和42年(1967)に休止されて現在に至る。そう、実は廃線ではなく休止線扱いなのである。だから現在も架線柱は立っているし、線路も撤去されてないのだ。しかし、実態は限りなく廃線に近いものである。

さて、この有名な安比奈線、はたしてどんな姿を見せてくれるのだろうか。

一口メモ:
ここ安比奈線は駅から辿れるから電車でのアプローチも便利だが、我々は安比奈線の路線長から考えて、午前中でやっつけられると踏んだ。そうなると午後は別の場所へと移動することになるので、車で来たほうが何かと都合が良い。しかし、安比奈線は徒歩で辿りたい。となると車をどこに停めるかだが、駅近くにコインパーキングがあるので、それを利用することにした。駅のすぐ横にあるのは30分100円で最高700円までしか加算されない。ちょっと離れたところにもあって、そちらは最高500円までという安さ。迷わずここを利用することにした。

安比奈線 路線図 クリックで別窓拡大
安比奈線 航空写真 くっきりと線路跡が写っている
A地点付近

いよいよ安比奈線の廃探に出発する。
新宿から来ると南大塚駅の手前で線路が分岐している。
これが安比奈線の始まりだ。

南大塚駅から新宿方面を向いて撮影
駅には一応ホームがあるが、柵がされている。

安比奈方面に向かって撮影
南大塚駅の跨線橋上から見た安比奈線。
なぜか線路は途切れている。

安比奈方面に向かって撮影
安比奈線を横切る一つ目の道路上から南大塚駅方向を撮影。

途切れた線路は道路手前から再び始まっている。
枕木はコンクリート製の新しいもので、明らかに近年に交換されたものである。
B地点付近

南大塚駅を出るとすぐに道路と交差する。
現役だったころには踏切があったのだろうか。
そして線路はすぐまた途切れる。

一応レイルは残っているが、アスファルトが詰まっていて、このままでは列車は走れない。
道路を過ぎて安比奈方向に行くと、またレイルが復活する。
ここからは架線柱も残っている。
レイルはゆるやかなカーブを描き、安比奈へと向かう。
ここには、ぱっと見には架線も残っているが、とてもこのままでは使えないだろう。
安比奈線を辿っていて不思議だったのは枕木の間隔だ。
今まで見てきたどんな線路も(たとえ山奥の森林軌道だろうが)枕木は等間隔で配置されていた。
しかし、この安比奈線は枕木の間隔が適当なのだ。
枕木は朽ちてしまっただけなのだろうか? それにしては全く痕跡も無いというのはあり得るのだろうか。

枕木の無い鉄道は考えられないから、たぶんそうなのだと思うが・・・。
安比奈線は、この先で国道16号線と交差する。車の走っているところがそうだ。

休止になった当時の自動車の交通量はたかが知れていただろうが、今ではひっきりなしに車の行きかう大動脈だ。

安比奈線を復活させるとしたら、ここは平面交差はあり得ない。
C地点付近

国道16号線の目の前まできた。
さすがに16号線上の架線は外されている。
中央分離帯は一応途切れているようだ。
しかし、16号線は舗装し直されたようで、レイルは全く見えない。
おそらく取り払われたのだろう。

以前の写真を見ると16号線上にもレイルが残っていたのだが。
南大塚駅方向を振り返る。
右隅に鉄道関連のボックスが写っている。
国道16号線を渡って安比奈方面を撮影。
ここからは左側に道が寄りそっているので、しばらくはそれを進んだ。
16号線の踏切の跡が残されていた。
これは何だろうか?
さて、いよいよ安比奈線を辿ることになった。
ここ数日、ゲリラ豪雨と呼ばれる激しい雨が毎日のように降っている。
おかげでこのような草むらは、しっかりと濡れているのである。
ここは長靴が必要だった。

この先、ずっとレイルが残っているのだが、伸び放題の夏草に隠れて、見えない箇所が多かった。
やはり廃探は真夏にやるものではないのだと思い知る。
線路跡に咲くコスモス。
休止になって40年ほどが経ち、木々が大きく張り出してきている。
また道路が横切っているようだ。
D地点付近

ここにはレイルが残っていた。
とは言っても、この状態では列車は走れないが。
道路の先は、沿線住民の花壇や家庭菜園と化している。
これでは立入禁止も何もあったものではない。
様々な植物の間から、ちらりとレイルが見えた。
この翼のようなものは何?
柵はあるが、所々に出入りできる場所がある。
住宅街の中を安比奈線は真っ直ぐ進む。
沿線住民でも、ここに列車が走っていた頃を知っている人も大分少なくなってきたのではないだろうか。
E地点付近

また道路がある。
そしてこの先には・・・。
前日に急に思い立って友人と訪ねることになった安比奈線。真夏という季節柄、雑草が生い茂る廃線跡探検となってしまった。
出来る限り下調べはしてきたのだが、あくまで机上の調査で、実際に辿ると先には何が待っているのか分からない。次々に現れる当時を思わせる遺構にワクワクしながらの廃探となった。

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