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東洋活性白土専用線  訪問日 1979(昭和54)年8月8日  同行者:伊藤弘  
                             カメラ:モノクロ=Nikomat FTn Nikkor 50mm F1.4 & 135mm F2.8 ネオパンSS
                                 カラー=OLYMPUS OM-2 Zuiko 50mm F1.4 & 135mm F3.5 フジカラー

糸魚川にある東洋活性白土専用線を訪れるために、私たちは北陸本線に乗った。途中駅で国鉄の車両を撮影しながらの、のんびりした旅であった。

東洋活性白土専用線は日本海に面した新潟県糸魚川にあった。国鉄糸魚川駅と工場を結ぶ専用線で、延長たった800mの産業用鉄道。軌間は610mm。1979年当時、日本に残された唯一の狭軌のSLが走る鉄道だった。
尾小屋鉄道廃線跡、立山砂防軌道とまわった私と伊藤君は3日目にここにやってきた。8月のジリジリとした刺すような日差しが照りつける昼下がりだったと記憶している。現役のSLを見るのが初めてだったので期待して行ったのだが、日曜日で工場は休みなのか動いてなかったのでガッカリした。わざわざ北陸まで撮影に行ったのに、何をやっているのか。学生で夏休みなのだから、いくらでも平日を選んで撮影に行けたのに。またいつか再訪しようと思っていたが、そのうち鉄道熱も冷めてしまい行くことはできなかった。
そして昭和57年(1982)に東洋活性白土は解散。10月にこの専用線も廃線になってしまった。

※この鉄道は訪れた時点では廃線ではなかったが、今では失われてしまっているのでここで紹介する。

糸魚川駅付近

▲東洋活性白土専用線の航空写真
昭和50年度(1975)撮影

※写真にマウスを乗せると線路図を表示

▲富山地方鉄道の「電鉄富山駅」に止まっていたデキ
古色蒼然としたスタイルがいい感じ。
この後、私たちは糸魚川に向けて出発した。

▲富山地方鉄道のマーク

▲ここから何枚か国鉄の列車たちを・・・

ホームに止まる快速(455系電車)と留置線のキハ58系気動車。入れ替え中のDD13機関車も見える。
場所は魚津駅辺りか? 記録がどこかへいってしまって不明。

▲特急雷鳥(485系電車)
今でもこの雷鳥は運行されている。
車体横には今はなきJNRのマーク。
東北線や上信越線の特急は新幹線開通と同時に廃止されたのを考えると、この雷鳥も北陸新幹線が全通したら廃止されてしまうのだろう。

▲雷鳥としらさぎ
左には昔懐かしいチョコレート色の客車が見える。

























▲富山地方鉄道の電車
なんともローカルな2両編成。





















私たちの乗っていた鈍行が特急はくたか(485系)に抜かれる瞬間。

この写真、線路上から撮ったように見えるが、客車の最後部のデッキから撮ったのだと今思い出した。
当時はまだ電気機関車の引く客車が普通に走っていた。それらのドアは手動で、開けっ放しにも出来たのである。車両同士の連結面のドアも同じで、最後尾に立てば流れ行く線路が眺められて、素晴らしい開放感だった。
もちろんエアコンなんて付いてなかったから、窓も全開だった。のんびりした時代だったのだなぁ。

▲こちらも富山地方鉄道の電車

▲地図のNo.1から撮影

長い時間掛けて、ようやく糸魚川駅に降り立ち、東洋活性白土を探した。
記憶はあいまいだが、すぐには分からなかったような覚えが・・・。
覚えているのは駅前の道路のアスファルトが、夏の強い日差しに輝いていたことだけだ。

そして、見つけたのは糸魚川駅に隣接した小さなホーム。石積みなのがローカルな雰囲気を醸し出す。
左側が東洋活性白土専用線で右が国鉄。
なんとなく小ささが分かるだろうか。
軌間は610mmでJR(当時国鉄)の半分ほどしかない。ここで貨物を積み替えている。

▲留置(放置?)されていたタンク車。
何を運んでいたのだろうか?
ここ、東洋活性白土は現役でSLが活躍しているところとして有名で雑誌等にもたびたび紹介されていたが、
このタンク車が連結されているのは見たことがない。

▲積替えホームから線路を辿って工場までやってきた。
ようやく東洋活性白土の工場内でお目当ての小さなSL(2号機)と対面。
おそらく事務所で見学の許可をもらったはずだが、30年前のことで覚えてない。
SLと言えばデゴイチが有名だが、それにくらべるとおもちゃのような大きさである。

▲同じアングルだが、カラーで
しかし、期待して訪れたのだが、なんとこの日は日曜日!
SLは走らないようだ。なんということだ・・・、せっかくここまで来たのに・・・。

▲たった2軸の動輪。本当に小さなSLだった。

▲2号機のプレート。
協三工業で製造されたもので、昭和31年製。
協三工業は今でもある会社で、鉄道車両等を製造している。
国内向けの産業用SLとしては最後のものが、この2号機である。
実は東京ディズニーランド(TDL)ウエスタンリバー鉄道のSLも協三工業製。TDLは石炭でなく重油焚きだが、本物のSLである。
TDLのSLとは歳の離れた兄弟なのである。

























汽笛
音を聞いてみたかった・・・
観光用以外では日本で最後の現役SLを見られるからと、とても楽しみにして訪れたのだったが残念なことに工場は休みだった。
しかし、私たち2人はめげずに工場内を撮影してまわった。
「その2」でも魅力的な工場内の写真をご覧いただきたい。
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